はじめに
こんにちは、技術部の今野です。
クラウド移行が進む中、多くの企業が自社に最適なクラウドサービス選定を迫られています。中でもコストと性能は重要な判断軸です。AWSやAzureといった老舗に加え、Oracle Cloud Infrastructure (OCI)も後発ながら注目を集めています。
本記事では、特にAWSと比較しながら、OCIのコスト・性能面での特長を解説します。クラウド最適化を検討されている方の参考になれば幸いです。
OCIの特長と優位性
OCI(Oracle Cloud Infrastructure)は、後発ならではの利点を活かし、他クラウドにはない独自の強みを持っています。ここでは、OCIが提供する主要な特長と、その実用的なメリットをご紹介します。
最新技術による高性能・高効率
OCIは後発クラウドならではの最新アーキテクチャを採用しています。特にOracle Database利用企業には最適な設計です。
コストパフォーマンスに優れる
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NAT Gateway・ネットワーク診断など:多くの機能が無償
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価格体系:シンプルかつ円建てで、為替リスクなし
コンピュート・DBでの柔軟性と性能
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フレキシブル・シェイプで構成自由度が高い
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DBサービスはExadataやAutonomous Databaseで高性能&運用負荷軽減
- Exadata:大規模で重い処理も高速にこなせる高性能DB基盤
- Autonomous Database:バックアップやチューニングを自動化し、手間なく運用可能
AWSとの比較ポイント
項目 | AWS | OCI |
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通信費用 | 有償(例:1GBのみ無料) | 月10TBまで無料、以降も安価 |
NATゲートウェイ | 有償 | 無償 |
Oracle DB運用 | 制限あり+高コスト | 最適化インフラ+BYOLで低コスト |
セキュリティ | 一部有償ツールあり | 多くのツールが無償 |
コスト比較
※Web三層構造(ロードバランサー + Web(AP)サーバー2台 + データベース1台)という最小構成を常時稼働させた場合
OCIはAWS、Azure、GCPと比較して、最小で約23%、最大で約40%のコストメリットがあるという結果が出ています。
クラウド | 年間コスト(USD) | 年間コスト(円) |
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AWS | 3,720〜4,560 | 520,800〜638,400円 |
Azure | 4,320〜5,160 | 604,800〜722,400円 |
Google Cloud | 4,020〜4,860 | 562,800〜680,400円 |
OCI | 2,850〜3,120 | 399,000〜436,800円 |
※1USD = 140円換算/2025年4月時点
※上記はあくまで一例であり、詳細な金額は各クラウドの試算ツール等でご確認ください
OCIの“本当のコストメリット”
OCIは単価の安さだけでなく、
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Oracleライセンス費用の削減
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予測可能な料金体系と円建て請求
といった要素で、TCO全体を抑えることが可能です。実例では、AWSからOCIへ移行して年間コストを30%以上削減、情シスの工数を40%削減した企業もあります。
まとめ
OCIは高いコスト効率と性能、そしてOracle製品との高い親和性を持つクラウドです。AWSのような柔軟性や情報の豊富さも魅力ですが、料金体系の複雑さや為替リスクといった課題もあります。
Oracle DBを使っている、コスト予測を重視したい、運用負荷を軽減したいといった企業には、OCIは有力な選択肢となるでしょう。
最後に
クラウド選定・設計・運用には高度な知識が求められます。不安や課題がある場合は、クラウド導入支援サービスなど、専門家に相談するのも一つの手です。最適な選択で、効果的なクラウド活用を目指しましょう。
参考リンク