
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の概要

基幹システムを支える堅牢なクラウド基盤
Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、米オラクル社が提供する最新のクラウドサービスです。エンタープライズ向けに、高い性能・可用性・セキュリティを備えております。オンプレミスのような高度な制御性と信頼性を持ちながら、クラウドならではの柔軟性も兼ね備えているため、企業の基幹システムを支える堅牢なインフラとして活用されています。
クラウドの常識を変える設計思想
OCIは、2016年にゼロから再設計された「第2世代クラウド」です。従来のクラウドが抱えていた問題を根本から解決するため、最新技術を用いて開発されました。安定したパフォーマンス、高速なネットワーク、テナントごとの物理的な分離に加え、設計段階からセキュリティを組み込んだ「セキュリティ・バイ・デザイン」の思想を採用しており、エンタープライズ用途に最適な堅牢性を備えています。クラウドの柔軟性を持ちながらも、高い安定性・信頼性・制御性、そして強固なセキュリティを実現している点が、OCIならではの大きな強みです。
他ユーザーの影響を受けない快適な処理環境
従来のクラウドでは、他のユーザーの処理が重くなると、自分のシステムの動作が遅くなる「ノイジーネイバー問題」がよく発生していました。OCIはこの問題を解決するため、ネットワークやI/O処理を専用のハードウェアで分離し、仮想マシンの動作を高速・安定に保つための工夫もされています。また、テナントごとに物理リソースをしっかり分けているため、他ユーザーの影響をほとんど受けません。この仕組みにより、基幹業務などの重要な処理でも、安定したパフォーマンスが常に得られます。
専用ネットワークとI/O最適化による処理の安定化
OCIでは、RDMA(リモート・ダイレクト・メモリー・アクセス)という高速通信技術を使った専用ネットワークを採用しており、データの読み書き(I/O)処理もハードウェアで最適化されています。そのため、たとえば数千万件の大量処理のような重い作業でも、処理速度が安定しています。時間がかかる処理でもムラが少なく、常に一定のスピードを保てます。オンプレミスで得られていた高い処理性能や安定性を、クラウドならではの柔軟なスケーラビリティと一緒に使えるのが、OCIの大きな特長です。
他クラウドとのサービス比較

コンピュート性能と価格のバランス
OCIでは、高性能な物理サーバー(ベアメタル)や、CPU・メモリ・GPUなどの構成を柔軟に選べる仮想マシン(シェイプ)を、他のクラウドサービスよりもコストを抑えて利用できます。これらのコンピュートリソースは、設計段階からパフォーマンスの安定性を重視して構築されているため、大量のデータ処理が必要な重負荷なワークロードでも、予測可能で安定したパフォーマンスを発揮します。高性能かつ安定性を備えながら、コスト効率にも優れていることから、大企業の基幹システムや本番環境の運用にも安心して選ばれているクラウド基盤です。
ネットワーク料金の透明性と低コスト
OCIでは、月に10TBまでのアウトバウンド通信が無料です。これは、AWSやAzureなど他の主要クラウドサービスと比べて非常に大きなメリットです。たとえば、AWSでは100GBまでは無料ですが、それ以降は段階的に課金が発生し、通信量が増えるほどコストも跳ね上がります。一方OCIでは、10TBまでは一切課金が発生しないため、大量のデータを扱うシステムほど大きなコスト差が生まれます。OCIの通信料金体系は、高トラフィックなサービス運用において強力なコスト優位性をもたらします。
ストレージの柔軟性と高速性
OCIのストレージは、使い方に合わせてスピードや性能をあとから柔軟に変更できます。たとえば、処理が重いときだけ高速モードに切り替えるといった使い方が可能です。一方、AWSやAzureでは、ストレージの性能を変えるには別のタイプへの移行が必要な場合もあり、手間やコストがかかることがあります。そのため、OCIは用途に応じた最適化がしやすく、性能とコストのバランスに優れています。
セキュリティとテナント分離の強化
OCIは、設計段階からセキュリティを重視しており、他の利用者と物理レベルで分離された専用のネットワーク環境(テナント分離)を提供しています。これにより、情報漏洩や干渉のリスクを大幅に低減できます。他のクラウドでは、基本的にソフトウェアベースの分離(仮想化)に依存しているため、超機密性が求められる業務では追加対策が必要になるケースもあります。このようにOCIは、政府機関や金融機関など、高度なセキュリティ要件があるシステムにも安心して使える設計となっています。
OCI移行事例集

基幹業務システムのOCI移行
ある製造メーカーでは、基幹業務システムを国産クラウドからOCIへ移行したことで、大きな成果を上げています。移行後は、データ分析処理のスピードが向上し、TCO(総所有コスト)を87%削減。さらに、3倍以上の性能向上を実現しました。国産クラウドからの移行によって、コスト・性能の両面で大きな効果を得られました。
社内システムのOCI移行
エンターテインメント業界のある企業が、オンプレミスで運用していた社内システムをOCIへ移行しました。Oracle Databaseとの高い親和性を活かし、既存のデータベースをスキーマ単位でスムーズにクラウドへリフト。これにより、運用およびライセンスコストの大幅な削減に加え、柔軟なスケールアップ/スケールダウンが可能になり、安定性やセキュリティの向上も実現しました。さらに、バックアップ運用の簡素化や最新OS・ミドルウェアの活用、ネットワーク管理の強化など、運用面でも多くのメリットが得られています。
オンプレミスからOCIへの全面移行
海外のある企業ではデータ処理量の増大に伴い、インフラの拡張性や保守負担が大きな課題となっていました。そこでOCIへの移行を実施し、スケーラビリティの確保とコスト最適化を同時に実現。加えて、災害対策(DR)もOCI上で構成することで、事業継続性の強化にも成功しました。アプリケーションはセキュリティ区画ごとに分離・管理することで、運用効率を高めながら高い安全性も維持しています。
移行の主な効果・メリット
- コスト削減(TCO・運用・ライセンス費用)
- システム性能の向上(処理速度・安定性)
- 柔軟なスケーリング(リソースの増減が容易)
- セキュリティと可用性の強化(最新環境・DR対応)
- バックアップや運用管理の簡素化
貴社環境でのコスト削減効果を無料診断
AWS環境の規模や複雑さ、使用しているサービスによって、最適な移行アプローチは異なります。弊社の無料診断サービスでは、お客様のAWS環境を分析し、OCIへ移行した場合のコスト削減効果を診断いたします。